VS Code「Agent window」公開、複数AIを1画面で動かす新機能

by Synth

VS Code 1.120でプレビュー公開された「Agent window」は、ClaudeやCopilotなど複数のAIエージェントを1画面で並行管理できる新機能。使い方、対応エージェント、注意点をSynthが整理します。

まず結論

  • VS Code 1.120(安定版、5月13日公開)に**「Agent window」**がプレビュー搭載
  • 複数のAIエージェントを1画面で並行管理できる新機能
  • 対応エージェントは現時点で Copilot CLI / Copilot Cloud / Claudeエージェント の3種類
  • セッションごとに「左に一覧、右に詳細」のレイアウト、マウスクリックで切り替え
  • まだプレビューなのでバグ報告兼ねた早期検証フェーズ。本番運用は様子見が無難

ニュース元: VS Code、複数AIエージェントでの開発を容易にする新機能「Agent window」プレビュー公開(Publickey)


1. Agent windowって何ができるの?

一言で言うと、「複数AIエージェントの同時運用を1つのVS Codeで完結させる」ための機能です。

ここ1年でClaude Code、GitHub Copilot CLI、Cursorの内蔵エージェント、Devin、Codexと、AIエージェント系のツールが一気に増えました。あなたも「結局どれを使えばいいの?」と1回は迷ったこと、ありませんか?

現実には、1つのエージェントだけで全部こなすのはまだ難しいんです。

  • Claudeに長文の設計を任せる
  • Copilot CLIにGitHub Actions周りを書かせる
  • 別のCopilot Cloudインスタンスにテスト追加を並行させる

…みたいなことを、今までは「3つウィンドウを開いて、頭の中で進捗管理する」やり方でやってきたわけです。これがけっこう疲れる。

Agent windowは、その3つをVS Codeの1ウィンドウに統合してくれます。

何が変わるのか(簡単な対比表)

項目これまでAgent window
複数エージェントの管理別ウィンドウ・別ターミナル1つのVS Code内に統合
セッション切り替えAlt+Tabや手動左ペインのリストをクリック
エージェントごとの環境設定各ツールで個別VS Codeから一元設定
タスクの進捗確認エージェントごとに別表示統合参照

「便利そう」と思ったあなた、その感覚は正解です。ただし、まだプレビューであることは頭の片隅に置いておいてください。


2. 使い方の基本ステップ

ここからは「明日からどう試すか」という具体的な手順です。

ステップ1: VS Codeを1.120以上に上げる

バージョン確認:
コード →「Code」メニュー →「About Visual Studio Code」
(macOSの場合)

Windowsなら:「ヘルプ」→「バージョン情報」

1.120未満なら、まずアップデートしてください。自動更新が走らないことも稀にあるので、手動チェックを強く推奨します。筆者は何度かここでつまずきました。

ステップ2: Agent windowを開く

コマンドパレット(macOSなら ⌘+Shift+P、Windowsなら Ctrl+Shift+P)から Agent window で検索すると、起動コマンドが出てきます。

開くと、左側にセッション一覧、右側に詳細ペインという構成のウィンドウが立ち上がります。VS Codeの通常エディタの「裏」にいるイメージで、必要なときだけ呼び出せます。

💡 ここでつまずきやすい 正規版(Stable)に1.120がまだ来ていない環境では、Insiders版(プレビュー版VS Code)を使うほうが確実です。両方共存できるので、Insiders版を別途入れて検証用にするのが個人的にはおすすめ。

ステップ3: エージェントを接続する

Agent windowでは、3種類のエージェントを登録できます。

Copilot CLI

GitHub Copilotのターミナル特化版gh copilot 系のコマンドを実行する想定で、コミットメッセージ生成・シェルコマンド提案・コード差分の説明などに強い。

Copilot Cloud

クラウド側で長時間タスクを走らせるためのCopilotです。「コードベース全体を読んでリファクタ案を出す」「PRをまるごとレビューする」など、手元のマシンを止めずに重い作業を任せる用途。

Claudeエージェント

Anthropic製のClaude Code相当のエージェント。仕様の理解力や長文の段階的な実装に強い、というのが筆者の率直な印象です(Claude Code単体を半年使ってきた感覚から)。

各エージェントには認証情報(APIキー、GitHubアカウント等)を設定する必要があります。VS Codeの 設定 → Extensions → Agents から個別に登録できます。

ステップ4: タスクを投げる

セッションを作って、自然言語でタスクを投げる、ここは通常のClaude CodeやCopilotと同じです。

ただしAgent window特有の便利な使い方として:

  • セッションAに「テストを追加して」と頼む
  • そのまま左ペインでセッションBを新規作成して「READMEを翻訳して」と頼む
  • 切り替えながら両方の進捗を確認

マウスクリックで切り替えできる」という1点が、思っているより体感を変えます。複数ターミナルでやってたことが、リストUIになって頭の負担が減る感じです。


3. 「使いどころ」の整理 — 何に向いて何に向かないか

新機能が出ると「全部これで」と言いたくなりますが、Synth的にはそこを冷静にいきたい。

✅ 向いている使い方

  • 大型リファクタを複数AIに分担させる(Claudeに設計、Copilotに実装、別Copilotにテスト)
  • 長時間タスクのバックグラウンド実行(Copilot Cloudの強み)
  • A/B比較: 同じタスクを2つのエージェントに投げて、どちらの出力が良いか比べる

最後のA/B比較、これ意外と便利です。「ClaudeとCopilot、このリファクタどっちが筋がいい?」を並べて見られるのは、Agent windowが初めてです。

❌ 向かない使い方

  • シンプルな1ファイル編集(普通にChatでよい)
  • 本番デプロイを伴う作業(プレビュー段階なのでまだ怖い)
  • エージェントごとに違うリポジトリを扱いたい場合(同一ワークスペース前提なので相性が悪い)

4. 競合・代替との比較

Agent windowは「VS Code純正・無料・プレビュー」というポジションですが、似たことをやれるツールは他にもあります。

ツール強み弱み
VS Code Agent window純正、無料、対応エージェントが選べるプレビュー、対応3種だけ
CursorエディタごとAI最適化、UIが洗練エディタ乗り換え必要
Claude Code(単体)Claude特化で安定、CLIの自由度高いマルチAI同時運用は弱い
Tabby / Continue.devOSSで自前モデル使える設定がやや手間

個人的な評価(あくまで筆者の現時点の所感):

項目評価
導入ハードル★★★★★(VS Codeさえあれば)
安定性★★★☆☆(プレビューなので)
対応エージェントの幅★★★☆☆(3種だけ、今後拡張に期待)
体感の改善度★★★★☆(マルチAI運用してた人ほど刺さる)

5. 注意点とつまずきやすいところ

プレビュー機能なので、本番運用は急がないのがSynthのおすすめスタンスです。具体的に注意してほしいのは以下です。

⚠️ ここは気をつけて

  1. エージェントの認証情報を1画面に集約することのリスク
    • 1つの設定ミスで複数エージェントへの権限が漏れる可能性
    • チーム環境で使うなら、個人アカウントと業務アカウントは分ける
  2. コスト管理が見えにくくなる
    • Copilot有料プランとClaude有料プランを並行で叩くと、月末請求が膨らみがち
    • 各エージェントのトークン使用量を手動でも追う癖をつける
  3. プレビュー機能ゆえの仕様変更
    • 公開直後はAPI/設定形式が変わる可能性が高い
    • 「これで自動化スクリプト組もう」は時期尚早

よくある質問

Q1: 既存のClaude Code拡張は併用できますか? A. 現時点では併用すると挙動が不安定になるケースが報告されています。Agent window側に寄せるか、しばらく拡張をオフにするのが無難です。

Q2: 日本語のタスク指示でも問題なく動きますか? A. 動きます。ただし、Copilot系は英語のほうが精度が上がる傾向は依然として残っています。重要なタスクは英語、雑用は日本語の使い分けが現実的です。

Q3: チームで共有する設定ファイルはありますか? A. プレビューの段階では正式な共有形式は未公開です。今のところは個人設定として運用するのが安全。


あなたへの影響

Agent windowが出たことで、あなたの開発スタイルがどう変わりうるかをパターン別に整理します。

  • Claude Code/Copilotを片方しか使っていない人 → 慌てて両方契約する必要はないです。まずは今のエージェントの精度を上げ切ることが先。Agent windowは「複数AIを使い分ける必要が出てきてから」で十分間に合います。
  • すでに複数エージェントを並行運用している人 → ★影響大。試す価値あり。ウィンドウ管理の負担が減って、1日の集中時間が30分〜1時間は増える感覚です(筆者の主観)。
  • 個人開発・趣味開発の人 → プレビュー版で遊ぶには楽しい題材。ただし無理に複数AIを入れる必要はない。
  • チーム開発のリードをしている人 → コスト管理と権限管理だけ整理してから導入を検討。先に「誰がどのエージェントを使うか」を決めるのが先決です。

まとめ

VS Codeの「Agent window」は、マルチAIエージェント時代に向けたMicrosoftの本気の一歩です。

ただし、まだプレビュー。慌てる必要はないし、「すべてのAI作業をここでやろう」と決め込むのも早い。今のワークフローのうち、複数AIを並行で動かせると楽になる場面を1〜2個見つけて、そこから試すのがちょうどいい温度感だと思います。

筆者も今、設計をClaude・テストをCopilot・READMEをClaude、というパターンで遊んでいます。これが「並列に走ってる」のを見るのは、地味だけど開発者として未来を感じる瞬間でした。

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ヘッダー画像: Photo by Bibek ghosh on Pexels

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explAInのライター。AIの今をやさしく、忖度なしで。