Figmaは終わり?Claude Design登場で変わるデザインワークフローの現在地

by Synth

Claude Design発表でFigma株が下落した翌日、SNSでは「Figmaオワコン」の声も。しかしFigmaは年商1,000億円超えで2026年30%成長目標。本当に終わるのか、データと構造で誠実に検証します。

まず結論

  • 結論から言うと、Figmaはすぐには終わりません。年商1,000億円超え、月間アクティブユーザー1,300万人、デザインツール市場シェア40.65%という地力があります
  • ただし「従来の形のFigma」は確実に再定義されます。2026年3月にはシート+AIクレジットのハイブリッド料金に移行予定で、ビジネスモデル自体が変わります
  • 筆者の見立ては3つのシナリオ: ①AI統合で成長継続(楽観)、②シェア微減だが業界標準として残存(現状維持)、③新規ユーザーをClaude/Googleに奪われ成長鈍化(悲観)
  • 現時点で可能性が高いのは②現状維持シナリオ。ただし油断すれば③に転ぶ距離感です
  • デザイナーにとっては「Figmaを捨てる」ではなく「Figma+AIツールをどう組み合わせるか」が2026年の主題になります

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SNSで「Figmaオワコン」と言われた夜

4月17日、AnthropicがClaude Designを発表した直後から、X(旧Twitter)のデザイナー界隈は一時的にざわつきました。翌営業日にはFigma株が約7%下落し、「Figmaオワコン」「もうFigma要らない」というポストが一時的にトレンド入りしたのをご覧になった方もいるかもしれません。

たしかに、プロンプトから一発でUIが出てくる動画は衝撃的でした。「これ、Figmaで何時間もかけて作ってたのって何だったんだろう」と思った方もいるでしょう。筆者自身、最初のデモを見たときは「これはFigmaが本気でまずいかも」と感じました。

ただ、一晩寝て冷静に数字を見直すと、景色はまったく違って見えてきます。

Figmaは2025年度に年商10億ドル(約1,500億円)を突破し、前年比+41%成長という猛烈なペースです。月間アクティブユーザーは1,300万人、デザインツール市場シェアは40.65%でぶっちぎりのトップ。さらに年間契約1,000万円以上のエンタープライズ顧客が67社、前年比+68%で増えています。

これは「オワコン」の数字ではありません。むしろ、プラットフォームとして最も脂が乗っている時期の数字です。

では、なぜ株価が7%も落ちたのか。そしてSNSでここまで騒がれるのか。その構造を、データで順に見ていきます。


データで見るFigmaの現在地

まずは冷静に、Figmaがいまどこに立っているのかを表で整理します。

指標数字備考
年商(FY2025)約10億ドル(約1,500億円※)前年比+41%
FY2026目標約13.7億ドル成長率目標30%
月間アクティブユーザー約1,300万人2025年3月時点
デザインツール市場シェア40.65%業界トップ
エンタープライズ顧客(年1,000万円超)67社前年比+68%
Figma Make週次利用率年$100K超顧客の50%以上社内AI機能
2026年3月〜料金体系シート+AIクレジットのハイブリッド新モデルへ移行

ここから読み取れることは3つあります。

1つ目: 成長はまだ加速中だということ。+41%成長した企業に「終わり」という言葉を使うのは、事実と噛み合いません。

2つ目: エンタープライズ領域が異常に強いこと。年1,000万円以上払う顧客が+68%で増えているのは、デザイン業務の「根っこ」にFigmaが食い込んでいる証拠です。

3つ目: Figma自身もAI統合を加速していること。Figma Makeというネイティブ生成AI機能は、すでに大口顧客の半数以上が週次で使っています。「AIに食われる側」ではなく、「AIを自社に取り込む側」に回ろうとしているわけですね。

この数字を踏まえたうえで、Claude Designたちとの違いを見ていきましょう。


Claude Design・Google StitchとFigmaの違い(一言で)

3つのツールを一言でまとめると、こうなります。

ツール一言で言うと強い領域弱い領域
Figmaデザインの共通言語チーム協業、Dev Mode、デザインシステム0→1のスピード
Claude Designプロンプトで作る試作機0→1生成、Claude Codeへの引き渡し既存アセット資産、協業文化
Google Stitch無料のAI UIビルダー無料、Gemini連携、個人開発者エンタープライズ機能、監査性

つまり、Claude DesignやStitchが侵食するのは「0→1のラフプロトタイプ」領域です。一人のデザイナーやエンジニアが「とりあえず画面の当たりを作りたい」ときの領域ですね。

一方で、侵食されにくいのが「チーム協業」と「デザインシステム運用」領域。50人のチームが同じコンポーネントライブラリを共有し、Dev Modeでエンジニアに引き渡し、バージョン管理して……という業務は、AI一発生成では代替できません。

この「どこを侵食し、どこを侵食しないか」の線引きが、次のシナリオ分析の土台になります。


3つのシナリオ予測

ここで筆者の見立てを、楽観・現状維持・悲観の3段階で整理します。

シナリオA: 楽観(可能性:約20%)

Figma MakeとAIクレジットのハイブリッド料金がうまくハマり、既存顧客からの単価が上がる。エンタープライズはむしろAI機能ありきでFigmaに集約され、年商成長率+40%がもう1年続く。Claude DesignやStitchは「試作用サブツール」として棲み分けされる。

この場合、Figma株はむしろ上昇し、SNSの「オワコン」論は黒歴史になります。

シナリオB: 現状維持(可能性:約55%)

新規ユーザーの一部(個人・副業・小規模スタートアップ)がClaude DesignやStitchに流れるが、エンタープライズ層は動かない。成長率は目標の30%前後で着地し、シェアは40%台前半〜30%台後半で横ばい。業界標準の座は維持するが、「独占」の文脈は終わる。

これが筆者が一番可能性が高いと見ているシナリオです。

シナリオC: 悲観(可能性:約25%)

2026年3月の料金変更が既存ユーザーに嫌われ、乗り換えが加速。Claude DesignとClaude Codeの組み合わせで「デザインから実装まで一気通貫」という新しいワークフローが普及し、Figmaの存在意義が薄まる。成長率は20%を切り、株価はさらに下落。

これはまだ少数派シナリオですが、油断すれば十分起こり得る距離感です。とくに料金変更の受け止められ方次第で、ここへ一気に振れる可能性があります。


Figmaが生き残る3つの強み

現状維持シナリオを支えているのが、Figmaの3つの構造的な強みです。

1. コラボレーション機能の成熟度 リアルタイムで複数人がカーソルを動かしながらデザインする体験は、もはやFigmaが業界標準を作ってしまいました。Claude DesignやStitchはまだ「一人で試作する」体験が中心で、チーム協業の設計思想そのものが違います

2. エンタープライズ資産のロックイン 大企業は、自社のデザインシステム、コンポーネントライブラリ、過去数年のFigmaファイルを蓄積しています。これを丸ごと別ツールに移すコストは、小さな企業が想像する以上に大きい。移行コスト自体がFigmaの堀になっているわけですね。

3. Dev Mode(開発者連携) Figmaは「デザイナーだけのツール」ではなく、エンジニアが実装するための橋渡しも担っています。コンポーネントのコード出力、仕様書化、GitHub連携といった機能は、Claude DesignがClaude Codeで狙っている領域でもありますが、既存のエンジニアチームが慣れているのはFigma側です。

この3つが効いている限り、「Figmaがゼロになる」という未来はちょっと考えにくい、というのが筆者の見方です。


それでも脅威な理由

とはいえ、楽観しすぎるのも危険です。Figmaにとって本当に怖いのは、正面からの競合より次の3つだと筆者は見ています。

1. 新規ユーザー獲得コストの上昇 これから新しくデザインを学ぶ人、新しく起業する人が「最初に触るツール」がClaude DesignやStitchになった場合、**Figmaは”追加で覚える必要のあるツール”**になってしまいます。新規の入り口を押さえられるのは、長期的にはボディブローです。

2. 料金体系変更のリスク 2026年3月からのシート+AIクレジットのハイブリッド料金は、既存ユーザーの一部を確実に刺激します。現行は $12〜45/editor・月※(約1,800〜6,750円)ですが、AIクレジット消費ぶんが上乗せされる形になると、**「Figmaって気づいたら高くなってない?」**という体験を生みやすい。これは解約の種になり得ます。

3. AI統合競争の終わりなき消耗 Claude Designが出て、Google Stitchが出て、Adobe AIも出て……と、今後もAI統合機能の競争は加速します。Figmaは自社でモデルを持っていないので、パートナー依存になります。AIモデル側が「自分で出した方が早い」と判断した瞬間、関係性は簡単に崩れます。

これらは「今すぐFigmaを殺す」要因ではありませんが、じわじわ効く毒のような脅威です。


あなたへの影響

ここまで構造の話をしてきましたが、結局これを読んでいるあなたに何が起きるのかをまとめます。

デザイナーのあなたへ Figmaのスキルはしばらく価値が残ります。ただし、「Figmaだけ使える」より「Figma+Claude DesignやStitchも触れる」人のほうが強い時代になります。ワークフローの「前半(試作)」をAIに任せ、「後半(協業・仕上げ)」をFigmaで回す形が主流になりそうです。

非デザイナーのあなたへ これは朗報です。Claude DesignやStitchのおかげで、デザイナーに頼まなくてもそこそこ見栄えする試作が作れる時代になりました。ただし、本番運用に耐えるデザインシステムは別の話なので、「試作までは自分、運用からはプロに」という切り分けが現実的ですね。

エンジニアのあなたへ Figma Dev ModeとClaude Code、両方の連携点を押さえておく価値があります。デザインから実装への変換コストが一番下がる職種がエンジニアなので、2026年のワークフロー改善のインパクトは大きいはずです。

経営者のあなたへ Figma契約をすぐに切る必要はありませんが、「AIクレジット費用がどれくらい乗るか」の試算は早めにやっておきましょう。2026年3月以降、社内のFigmaコストは読みづらくなります。並行して、Claude Designの低コストな試作用ライセンスを小規模チームに配る、という二段構えも現実的な選択肢です。


まとめ

Figmaは終わりません。ただし、デザイン市場は”AI前提”に再定義されます。

+41%成長、MAU1,300万人、シェア40.65%という数字を持つ会社が、たった1つの競合発表で消えることはありません。SNSの「オワコン」論は、実態よりもずっと先走った反応です。

一方で、「従来通りのFigma中心ワークフロー」が2026年以降もそのまま続くかと言えば、それは無理でしょう。AIが0→1の領域を食う以上、デザイナーもエンジニアも経営者も、自分のワークフローを一度棚卸しする必要があります。

これは使う側にとって、チャンスと脅威の両方です。チャンスは「試作コストが激減する」こと。脅威は「ツールの組み合わせを間違えると、チーム全体の生産性が逆に落ちる」こと。どちらに転ぶかは、結局のところあなたがどの組み合わせを選ぶかで決まります。

Figmaが生き残るかどうかよりも、あなた自身のワークフローがこの再定義を乗り切れるかのほうが、ずっと重要な問いかもしれません。


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explAInのライター。AIの今をやさしく、忖度なしで。